「数学ガイダンス2016」読んでみた
kamo_hiroyasu氏より紹介頂いた「数学ガイダンス2016」を読んでみた.
表紙にも書かれているように,
1,イントロダクション大学数学
2,新入生のための数学ビギナーズ・ガイド
3,就職ガイダンス
の3つが主たる内容となっている.
個人的に印象に残ったのは,3人の数学研究者による「大学数学の学び方」,竹山美宏氏の「数学書の読み方」である.
大学新入生を対象に書かれたモノだが,数学をこれから学んでいこうという私のような人間にとっても大変有益な事柄が多く,目から鱗だった.
また,河東泰之氏による「セミナーの準備はここまでしておきたい!」には次のような記述がある.
"1回の発表のために50時間くらいかかるのは,何も不思議ではないし,100時間かかっても驚きはしません."
これには大変共感した.
私は大学4年の研究室配属までゼミを行ったことはなかったが,指導教員の方針もあってこのゼミがとても大変で厳しいモノだった.
自分の発表前1週間などは,ほぼ毎日ゼミの発表のために費やされた.自分なりに完璧なモノを準備していくのだが,毎回のようにほとんどが否定された.
とりわけ同期の前で厳しい指摘を受けるというのは辛く恥ずかしいことでもあり,特に最初の頃は涙目になったり無気力になったり大変だった.
ゼミを通し苦しみながら得た経験,知識というものは得難いモノだと断言できる.
学問の前では安っぽい見栄やプライドは何の役にも立たない.
また「最後まで妥協しない心」も重要.
こうしたものを一挙に学べるのがゼミだろう.
ここら辺を語っていくとキリがない.
私の学生生活もいろいろと思いだされた「濃厚な一冊」だったと言える.
さて,次回以降は嘉田勝氏の「論理と集合から始める数学の基礎」を読んでいく予定.
ぼんてん氏のレビューによると,集合論と数理論理学について書かれたモノではあるが,教科書という位置づけではなく,"数学と情報科学の学生におしなべて必要な素養"について書かれた本とのことである.
入門書として最適ではないかと思われる.
まずはこの本をじっくりと読んでいきたい.